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固定電話は電話回線からネット回線へ!新たな可能性と導入時の注意点
固定電話は電話回線からネット回線へ!新たな可能性と導入時の注意点
企業の日常業務において、固定電話は今なお欠かせない存在です。
顧客からの問い合わせ対応、取引先との商談、社内連絡など、多くの重要な会話が固定電話を通じて日々行われています。
しかし、従来の固定電話には、オフィスの電話機でしか応対できないという物理的な制約があります。また、高額な初期投資や保守費用、拠点移転時の工事の手間など、様々な課題を抱えていました。
このような課題を解決するのが、インターネット回線を活用した固定電話です。場所を選ばない柔軟性とコスト削減効果を兼ね備えた新しい電話環境について、メリットや導入時の注意点を解説します。
インターネット回線を使った固定電話とは?
インターネットは、画像やテキストなどのデータをパケットと呼ばれるデータに分割して送受信する仕組みを採用しています。
それぞれのパケットには「送信元のアドレス」と「宛先のアドレス」、そして「このパケットが全体の何番目のパーツか」という情報が付けられます。パケットはインターネットを通じて宛先に送られますが、必ずしも同じ経路を通るとは限らず、到着順もバラバラです。
宛先に到着すると、「ルーター」という装置がこれらのパケットを受け取り、自分宛てのものだけを集めます。そして付けられた番号順に並べ直すことで、元の画像データを復元するのです。
インターネットで音声通話をするときも同様に、音声信号を一度パケットデータに変換して通話先に届いたときに再構築をしなければいけません。この変換と再構築を実現するのが「VoIP」(Voice over Internet Protocol)という技術です。
VoIPによって、音声信号をデジタルデータに変換し、インターネットプロトコルを使って送受信することができます。これにより、従来の電話回線(アナログ電話網)ではなく、インターネット回線を通じて音声通話が可能になります。
こうしたVoIP技術を活用して提供されている音声通話サービスが、一般的に「IP電話」と呼ばれています。
関連記事:VoIPとは?クラウドPBXとの連携で実現する効率的な通話環境
データ通信と音声通話でインターネット回線を共有
IP電話の大きな特徴は、データ通信と音声通話が同じインターネット回線を共有できることです。
従来の固定電話では、音声専用の電話回線を使用していたので、オフィスで固定電話とインターネットを利用する場合、電話用とデータ通信用に別々の回線を引く必要がありました。
しかし、IP電話であれば、インターネット回線だけで両方の機能をカバーできます。オフィスや店舗に既にインターネット回線が導入されていれば、固定電話のために追加で電話回線を引き込む必要がありません。
無線通信でも音声通話が利用できる
IP電話は、インターネット接続さえ確保できれば、有線でも無線でも音声通話が利用できます。
従来の固定電話は、音声通話を利用するのに物理的な電話回線が必須です。
一方、IP電話では、オフィス内のLANケーブルによる有線接続だけでなく、Wi-Fiやモバイル回線(4G/5G)でも音声通話が利用できます。
また、無線通信による音声通話は、特にレイアウト変更が頻繁なオフィスや、臨時の電話設置が必要なイベント会場などでも、配線工事なしで迅速に電話環境を構築できる点で便利です。
接続環境を問わずに音声通話を利用できる柔軟性は、働き方の多様化が進む現代のビジネスにおいて大きなメリットになります。
IP-PBX・クラウドPBXで電話番号を複数の端末で共有できる
企業で固定電話を活用する場合、1つの代表電話番号を複数の端末で共有できる電話システムの構築が必要です。
電話システムの構築する上で欠かせないのが「PBX(Private Branch Exchange:構内交換機)」です。PBXは、以下のような重要な役割を担っています。
- 外部からの着信を社内の適切な電話機に振り分ける
- 社内の内線同士を接続する
- 複数の外線を効率的に管理する
- 転送や保留、会議通話などの高度な電話機能を提供する
IP電話で電話システムを構築する方法として、主に「IP-PBX」と「クラウドPBX」の2種類があります。
IP-PBXは、従来のPBXをIP対応にした方式で、オフィス内に専用の交換機やサーバーを設置します。社内LANに接続され、IP電話機やソフトフォンを内線として管理します。
自社内に機器を置くため、通信の安定性やセキュリティ面での安心感があり、インターネット回線に問題があっても内線通話は可能です。
ただし、初期導入費用が高額で、機器の保守や管理の手間がかかります。
一方、クラウドPBXは、クラウド上に構築されたPBXの機能をインターネット経由で提供するサービスです。オフィス内に専用機器を設置する必要がないため、企業はインターネット環境さえあれば、PCやスマートフォンを電話機として使い、内線・外線通話が可能です。
また、在宅勤務や外出先からでもインターネットを経由することで会社の電話番号を使えるため、働き方の多様化に対応しやすい点が大きな特徴です。
IP-PBXは大規模な拠点向けに、クラウドPBXはスモールスタートや複数拠点での利用に適しています。どちらを選ぶにしても、従来の電話交換機を使った固定電話と比べて、IP電話を使ったPBXは柔軟性が高くなっています。
関連記事:クラウドPBXとは?固定電話のDXでコスト削減と業務効率化を実現
インターネット回線を利用した固定電話の「番号体系」
IP電話で利用できる電話番号は主に以下の3種類です。
- 0ABJ番号
- 050番号
- 着信課金番号(0120/0800)
それぞれの電話番号には特徴がありますので、自社のビジネスに最適なものを選ぶために確認しておきましょう。
0ABJ番号
0ABJ番号とは、市外局番から始まる従来の固定電話番号と同じ形式の番号体系です。例えば、東京であれば「03」、大阪であれば「06」から始まる電話番号(「03-XXXX-XXXX」など)がこれにあたります。
IP電話でも、総務省が定めた通話品質基準(固定電話と同等のクラスA品質)を満たす事業者であれば0ABJ番号の取得が可能です。
0ABJ番号の最大のメリットは、高い信頼性と認知度です。特に一般顧客や新規の得意先に市外局番付きの番号を提示することで、固定された事業所を持つ信頼できる事業者というイメージを与えられます。
また、市外局番によって事業所の所在地域が明示されるため、地域密着型のビジネスにとっては地元企業としての存在感を示す効果も期待できます。
番号ポータビリティにも対応するので、従来の固定電話で長年使用してきた電話番号をIP電話に引き継ぐことが可能です。
ビジネスでは代表の電話番号が変わると、顧客や取引先から連絡が取れなくなるリスクがありますが、0ABJ番号であれば業務の連続性を保ったままIP電話の利点を受けられます。
050番号
050番号は「050」から始まる11桁のIP電話専用番号です。市外局番の代わりに「050」で始まり、通信事業者の識別番号(4桁)と加入者番号(4桁)と続きます。
市外局番や市内局番といった地理的情報を持たないため、オフィスの所在地に限らず全国どこでも取得できます。
一方で制限事項もいくつかあります。例えば、050番号にはエリアを特定する市外局番がないため、0ABJ番号と比べて信用性が低く見られる傾向があります。
また、050番号は発行事業者ごとに割り当てられるため、他社へ乗り換える際に番号ポータビリティができません。
固定電話からの移行や、IP電話の事業者変更時には番号自体が変わってしまうので、企業利用の場合は取引先への周知などに注意が必要です。
050番号を利用するIP電話サービスでは、緊急通報(110番や119番)への発信ができないケースが一般的です。これは発信場所の特定が困難なためで、050番号を主番号に据える際のデメリットとなります。
ただし、050番号は月額基本料や通話料が安価に設定されていることが多く、新規開設も簡単なため、副回線や一時的な電話利用にも適しています。
関連記事:050のIP電話とは?固定電話番号との違いと利用時の注意点を解説
着信課金番号(0120/0800)
0120や0800番号といった着信課金番号も、IP電話で運用が可能です。
ただし、着信課金番号は代表の電話番号(0ABJ番号など)に紐づけて取得するものであり、単独での取得や運用はできません。つまり、既に所有している固定電話番号などをベースとして0120/0800番号を追加する形となります。
そのため、新規に電話システムを導入する場合は、まず基本となる電話番号を取得した上で、着信課金番号を追加申請するという2段階の手続きが必要です。
また着信課金番号は企業向けのサービスのため、契約には所定の審査や書類手続きが必要になる場合があります。
インターネット回線で固定電話を利用する3つのメリット
インターネット回線を使った固定電話(IP電話)には、従来の電話回線では実現できなかった以下のようなメリットがあります。
- 固定電話番号をスマホやPCでも使える
- 通信コストの削減
- 幅広い選択肢で業務に最適な通信サービスが見つかる
上記のメリットについて順に解説していきます。
固定電話番号をスマホやPCでも使える
IP電話のメリットのひとつは、従来の固定電話機だけでなく、パソコンやスマートフォンでも企業の固定電話番号を利用できることです。
例えば、電話機能をソフトウェア化した「ソフトフォン」をPCにインストールすることで、電話機として使用できるようになります。スマートフォンも同様に、専用アプリをインストールすることで、固定電話番号を利用できます。
また、IP電話をクラウドPBXと組み合わせることで、場所を問わず企業の代表電話番号(市外局番付きの番号)を使って発着信ができるようになります。
従業員はオフィスにいなくても、スマートフォンやパソコンから会社の市外局番付き電話番号(例:03-XXXX-XXXXなど)を使って電話の発信や着信ができるため、機能性が大きく広がります。
関連記事:スマホで固定電話番号が使えるサービスとは?特徴と機能を解説!
通信コストの削減
固定電話を従来の電話回線からインターネット回線へ移行することで、通話料金から設備費用まで、大幅なコスト削減が期待できます。
例えば、IP電話では、通話料自体が従来の固定電話よりも低く設定されているため、単純に切り替えるだけでも通話料を抑えられます。
音声通話サービスの種類 | サービス名 | 固定電話への通話料(円) | 携帯電話への通話(円) |
---|---|---|---|
固定電話 | 固定電話(加入電話) | 9.35/3分 | 17.6/60秒 |
IP電話 | NTTひかり電話 | 8.8/3分 | 17.6/60秒 |
auひかり電話 | 8.8/3分 | 17.5~17.6/60秒 | |
IP-Line | 5.06/90秒 8.8/30秒 | 8.69/3分 16.5/60秒 |
さらに、通話料の課金時間が短く設定されているサービスがあり、例えば一般的な電話が180秒(3分)課金のところ、IP電話サービス「IP-Line」は90秒課金を採用しています。
これにより、短時間の通話でも無駄な課金が発生せず、通話料の削減につながります。
また、設備投資の面でも大きなメリットがあります。
クラウドPBXを利用する場合、数十万円単位の費用が発生する電話交換機(PBX)の購入の必要がありません。インターネット環境さえあれば、低コストですぐにサービスを開始できます。
従来の電話システムでは避けられなかった機器のメンテナンスや老朽化に伴う交換費用もベンダー側が負担するため、保守管理にかかる費用と手間を大幅に軽減できます。
幅広い選択肢で業務に最適な通信サービスが見つかる
従来の固定電話は、NTTなど限られた通信事業者が提供するサービスから選ぶしかなく、機能やプランの選択肢も限定的でした。
それに対してIP電話では、多くのインターネット事業者がサービスを提供しているため、選択肢が広がっています。
インターネット事業者が提供するIP電話は、それぞれ料金体系、対応機能、操作性、拡張性などが異なります。そのため企業は自社の規模、業種、予算、利用目的に合わせた最適なサービスを選択しやすくなっているのです。
また、IP電話をクラウドPBXと組み合わせる場合も、様々なクラウドPBXが存在するため、自社のニーズに最適な組み合わせを選べます。
例えば、コールセンター向けの高度なコール分析機能の重視、在宅勤務対応のモバイル連携を優先など、自社の優先事項に基づいて最適なクラウドPBXを選べます。
留守番電話やIVR(自動音声応答)、全通話録音、通話内容のテキスト化など高度な機能が利用できるクラウドPBXも多く、手頃な価格で利用できるようになっています。
幅広い選択肢から自社の業務スタイルに合った組み合わせを選択できることで、顧客対応の迅速化や問い合わせ管理の効率化など、実務上の課題解決が可能になります。
インターネット回線で固定電話を利用するデメリット
インターネット回線を使った固定電話(IP電話)には、従来の電話回線と比較して以下のようなデメリットやリスクがあります。
- 通話品質が不安定になりやすい
- セキュリティ対策が必要
- 050番号では緊急通報が利用できないケースがある
これらのデメリットについてそれぞれ詳しく見ていきましょう。
通話品質が不安定になりやすい
インターネット回線での音声通話は、通信環境によって通話品質が不安定になるリスクがあります。
従来の電話回線(アナログ回線)は、通話専用の回線を使用しているため、他のデータ通信との混在がありません。常に安定した帯域幅が確保されることから、通話中に遅延や音切れが発生しにくくなります。
一方、インターネット回線は、音声通話とデータ通信が同じ回線を共有しているため、通信量が多い時間帯には十分な帯域が確保できず、通話品質が低下することがあります。特に動画視聴やファイルのダウンロードなど大量のデータ通信が同時に行われると、パケットデータの伝送が遅れ、通話に遅延や途切れが生じることがあります。
また、無線LANやモバイル回線を利用している場合は電波状況によっても品質が左右され、IP電話サービス自体の品質基準によっても通話の安定性が変わってきます。
セキュリティ対策が必要
インターネット回線を介しての音声通話は、従来の固定電話にはなかったセキュリティ上のリスクも存在します。
例えば、音声のパケットは特殊な機器があれば盗み聞きされる可能性があります。そのため、ネットワーク経由で第三者がシステムに不正侵入し、通話内容を盗聴される危険性があるのです。
このようなリスクに対しては、多層的なセキュリティ対策が重要です。例えば、通信の暗号化や異常トラフィックの遮断などの措置を講じることで安全性を高められます。
また、自社内のルーターやファイアウォールで不要なポートを閉じる、初期パスワードを変更し強固な認証情報を設定する、端末やサーバへのアクセスに多要素認証を導入する等の対策が有効とされています。
050番号では緊急通報が利用できないケースがある
IP電話で使用する050番号では、110番(警察)や119番(消防)への緊急通報がかけられないか、かけられても発信場所情報が伝わらないという制約があります。
050番号には、市外局番や市内局番といった発信者の所在地を特定する情報が含まれていないためです。050番号しか電話手段がない状況で緊急発信すると、通信が繋がらないか対応が遅れるリスクがあります。
対策として、社内には緊急通報用に加入電話回線または携帯電話を併設しておくことが推奨されています。また、0ABJ番号であれば緊急通報の制約がないため、緊急時の対応に関するリスクを低減できます。
「INNOVERA」で固定電話はもっと自由になる
INNOVERAは、当社(株式会社プロディライト)が提供する国産クラウドPBXです。スマホやPCから固定電話番号で発着信できるクラウド電話として、既に多くの企業での導入実績を誇ります。
また、高い信頼性が評価され、電気通信事業者認証機構(ETOC)から「優良電話事業者」としての認証も取得しています。
当社の強みは、自社開発のクラウドPBX「INNOVERA」とIP電話「IP-Line」を一体で提供している点です。同一会社でサービスを提供するため、互換性が検証済みで、安定した電話システムを構築できます。
信頼性、実績、使いやすさを兼ね備えており、企業が安心して電話環境をクラウド化できる有力な選択肢です。
オフィスの外でも会社の電話番号をそのまま使える
INNOVERAでは、スマ-トフォンやPCにソフトフォンや専用アプリを入れることで、会社の代表番号など市外局番付きの電話をどこからでも発着信できます。
例えば従来のビジネスフォンの課題だった「在宅勤務中に会社宛の電話に出られない」という問題も、INNOVERAなら電話転送サービスを使わずPCやスマートフォンで受けられるため解決します。
場所に縛られない電話対応が可能になることで、多様な働き方に適した環境を構築できます。
またクラウドPBXであるINNOVERAは、導入の際にオフィスにPBX機器を設置する必要がなく、新拠点開設やレイアウト変更の際も電話配線工事を気にせず迅速に対応できます。
外部システムとAPI連携で業務効率を向上
INNOVERAはクラウドサービスならではの高い拡張性も持っています。その代表的なものがAPI連携機能です。提供されるAPIを活用することで、CRMやSFAといった外部システムと連携できます。
例えば、着信時に顧客情報をポップアップ表示させたり、発信履歴を自動で顧客DBに記録するといったことが可能になり、電話対応業務の効率が格段に向上します。
INNOVERAは、このように外部システムとの連携を柔軟に行えるため、電話業務の効率化を実現できる点が大きなメリットです。
また、従来のビジネスフォンでも外部システムとの連携は可能でしたが、仕様変更には多くの手間とコストがかかっていました。
しかし、INNOVERAならAPI経由で自由度の高い連携を実現できるため、カスタマイズも容易で、電話を「単なる通話手段」から「業務データの一部」へと進化させることができます。
クラウドPBX「INNOVERA」×API連携の詳細はこちら
90秒課金で無駄な通話料を削減
当社が提供するIP電話サービス「IP-Line」は他社にない90秒課金を採用しています。日本の通話の74%は90秒以内に終了していることから、その実情に合わせた料金設定になっています。
従来は、わずか数十秒の短い通話でも一律3分の通話料が発生していましたが、IP-Lineなら90秒分の通話料になります。1分20秒の通話であれば、同じIP電話であっても他社サービスなら3分間の通話料(8.8円)がかかるところ、IP-Lineなら90秒分(5.06円)で済みます。
この差は通話回数が多い企業ほど大きくなり、毎月の通信費を大幅に圧縮できます。
まとめ
インターネット回線での音声通話は、VoIP技術を活用したIP電話によって可能となります。
IP電話は、従来の電話機に加えてPCやスマートフォンでも利用できるため、従来の固定電話と比較すると幅広い使い方ができます。また、クラウドPBXと組みあわせることで、自宅や外出先からでも会社の固定電話番号の利用が可能です。
働き方の多様化が進む現代、IP電話とクラウドPBXの導入により、オフィスでも自宅でも変わらない品質の電話対応が可能となり、電話応対の質を一定に保つことができます。
CRMやSFAなどの外部システムとの連携も容易になるため、顧客情報と通話履歴の統合管理など、従来の電話システムでは実現困難だった業務の効率化と顧客対応の質の向上を実現します。
IP電話とクラウドPBXの利点を最大限に活かすには、信頼性の高いサービス選びが重要です。INNOVERAは、自社開発のクラウドPBX基盤と直収型IP電話回線「IP-Line」を一体で提供しているため、互換性が高く安定したシステム構築が可能です。
経験豊富な専門スタッフが、御社の環境に最適な導入プランをご提案いたしますので、まずはお気軽にお問い合わせください。