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クラウドPBXで自治体のDX推進!導入する4つのメリットと成功事例
クラウドPBXで自治体のDX推進!導入する4つのメリットと成功事例
近年、自治体における業務効率化とデジタル化の波が急速に広がっています。特に電話システムのクラウド化は、住民サービスの向上と職員の働き方改革を同時に実現する重要な施策として注目を集めています。
従来のビジネスフォンからクラウドPBXへの移行は、単なるシステムの更新にとどまらず、自治体のDX推進における重要な第一歩となっています。
ここでは、多くの自治体がクラウドPBXの導入を進めている背景と具体的なメリット、そして実際の導入事例を交えながら詳しく解説します。
自治体でクラウドPBXの導入が進む背景
全国の自治体においては、社会情勢の変化や行政サービスに対する住民ニーズの多様化を背景として、クラウドPBXの導入が急速に進んでいます。
従来の電話システムでは対応しきれない課題が顕在化する中、クラウドPBXは自治体が抱える様々な問題を解決する有効な手段として認識されるようになりました。
特に、限られた予算と人員で最大限の住民サービスを提供しなければならない自治体にとって、業務効率化とコスト削減を同時に実現できるクラウドPBXは魅力的な選択肢となっています。
BCP対策の強化
東日本大震災をはじめとする大規模災害の経験から、自治体における事業継続計画(BCP)の重要性が再認識されています。
従来のビジネスフォンでは、PBX(構内交換機)が庁舎内に設置されているため、災害時に庁舎が被害を受けると電話機能が完全に停止してしまうリスクがありました。住民からの問い合わせや支援要請に対応できない状況は、災害対応において致命的な問題となります。
実際に、過去の災害ではPBXの水没や停電により、住民との連絡手段を失った自治体が多数ありました。災害対策本部として機能すべき自治体が、最も重要な通信手段を失うことは、住民の生命や財産を守る上で大きな障害となります。
一方、クラウドPBXは、電話交換機の機能をインターネット上のクラウド環境に置くことで、庁舎が被災しても職員のスマートフォンやPCから電話業務を継続できます。これにより、災害時でも住民との連絡手段を確保し、迅速な情報提供や支援活動が可能となります。
また、複数の通信経路を確保することで、一部の回線が不通になっても別の経路で通信を維持できる冗長性も重要なポイントです。
職員のテレワーク推進
新型コロナウイルス感染症の流行を機に、自治体においても職員の感染リスク軽減と業務継続の両立が求められるようになりました。
しかし、従来のビジネスフォンでは、代表番号への着信対応や内線通話のために出勤せざるを得ない状況が続いていました。窓口業務が主体となる自治体において、電話対応は住民サービスの要であり、これがテレワーク推進の大きな障壁となっていたのです。
特に、育児や介護と仕事を両立させたい職員にとって、電話対応のためだけに出勤しなければならない状況は大きな負担です。また、感染症対策として職員を複数のグループに分けて交代勤務を実施する場合も、電話対応の引き継ぎが煩雑になるという課題がありました。
その点、クラウドPBXであれば、自宅や出張先からでも代表番号での発着信が可能になり、職員の柔軟な働き方を実現できるようになります。さらに、在宅勤務中でも内線通話が可能なため、職員間のコミュニケーションも円滑に行えます。
自治体DXの推進
総務省が策定した「自治体DX推進計画」では、デジタル技術を活用した住民サービスの向上と業務効率化が重要な目標として掲げられています。
電話システムのクラウド化は、自治体DXの取り組みにおいて基盤となる施策の一つです。
単に電話機能をクラウド化するだけでなく、AIを活用した自動応答機能や通話内容のテキスト化など、最新技術との連携で、より高度な住民サービスの提供が可能になります。
例えば、AI音声認識技術を活用することで、電話での問い合わせ内容を自動的にテキスト化し、データベースに蓄積することができます。これにより、住民からの要望や問い合わせの傾向を分析し、より効果的な施策立案につなげることも可能です。
また、クラウドPBXは他の業務システムとの連携も容易であり、総合的なデジタル化推進の起点としても機能します。
住民情報システムやケース管理システムと連携することで、電話対応時に必要な情報を瞬時に参照でき、より迅速かつ的確な対応が可能になります。
自治体がクラウドPBXを導入する4つのメリット
クラウドPBXの導入は、自治体の業務効率化と住民サービス向上に大きく貢献します。ここでは、具体的な4つのメリットについて詳しく見ていきましょう。
窓口サービスの待ち時間短縮
自治体の電話窓口には、日々多様な問い合わせが寄せられます。税金、福祉、子育て支援など、内容も担当部署も多岐にわたり、適切な部署への振り分けに時間がかかることが課題でした。
特に繁忙期には、電話がつながらない、担当部署にたどり着くまでに時間がかかるといった苦情が多く寄せられます。そのため、職員も電話対応に追われ、本来の業務に支障をきたすケースも少なくありませんでした。
しかし、クラウドPBXであれば搭載されているIVR(自動音声応答)機能を活用することで、問い合わせ内容に応じて自動的に担当部署へ振り分けることが可能になります。
例えば、「税金に関するお問い合わせは1番、福祉に関するお問い合わせは2番」といった音声ガイダンスにより、住民は待ち時間なく適切な担当者につながることができます。これにより、電話をかけた人がたらい回しになることもなく、住民の満足度向上につながります。
さらに、時間帯別の着信数データを分析することで、繁忙時間帯に人員を手厚く配置するなど、効率的な人員配置も可能になります。
電話業務にかかるコストの大幅削減
市町村合併により複数の庁舎を運営する自治体では、それぞれの拠点にPBXを設置し、個別に電話番号を管理していることが一般的でした。例えば、本庁舎、支所、出張所、公民館、図書館など、各施設がそれぞれ独立した電話システムを運用している場合、施設間の通話には外線通話料金が発生し、月額で数十万円に上ることも珍しくありません。
クラウドPBXを導入することで、分散した電話システムを統合し、一つの電話番号で全拠点をカバーできるようになります。各拠点間の通話は内線扱いとなるため、通話料金が発生しません。
さらに、電話交換機の保守・メンテナンス費用も不要となり、年間で数百万円規模のコスト削減を実現できます。
従来のビジネスフォンとクラウドPBXの仕組みとコストを比較すると、以下のような違いがあります。
項目 | ビジネスフォン | クラウドPBX |
---|---|---|
電話システム構成 | 各拠点に個別のPBX設置 | 全拠点を統合したクラウド管理 |
電話番号管理 | 拠点ごとに異なる代表番号 | 一つの代表番号で全拠点をカバー |
拠点間通話 | 外線通話(通話料金発生) | 内線通話(通話料金なし) |
月額通話料 | 数十万円(拠点間通話料込み) | 大幅削減(内線化により) |
保守・メンテナンス | 各拠点で個別契約が必要 | 不要(クラウドで自動対応) |
固定電話機 | 各職員に固定電話が必要 | スマートフォンやPCで代用可能 |
関連記事:クラウドPBXの導入で通話料はどう変わる?国内・国際通話の料金体系を解説
災害時における電話業務の継続
大規模災害発生時、自治体は災害対策本部として機能し、住民への情報提供や支援活動の中心的役割を担います。
従来のビジネスフォンでは、庁舎の被災により電話交換機が使用不能になると、代表番号での発着信ができなくなり、住民から自治体へ連絡を取る手段が失われていました。携帯電話の番号を公開しても、番号の周知に時間がかかり、混乱を招くことが多かったのです。
クラウドPBXは、インターネット回線が利用できる環境であれば、どこからでも電話業務を継続できます。庁舎が使用不能になった場合でも、代替施設や職員の自宅から代表番号での発着信が可能です。
また、従来の電話回線に依存するビジネスフォンは契約している回線に障害が発生すると電話機能が停止してしまいます。
一方、クラウドPBXはインターネット回線を利用するため、光回線やモバイル回線など様々な経路から接続でき、一部の回線が不通になっても通信を維持できます。
これにより、災害時でも住民との連絡手段を確保し、迅速な災害対応が可能となります。
関連記事:クラウドPBXが災害時のBCP対策に最適な5つの理由と導入手順
職員の作業効率の大幅な向上
従来のビジネスフォンでは、外出中の職員への連絡は個人のスマートフォンに転送するか、折り返し連絡を依頼する必要がありました。
そのため、緊急の連絡が遅れたり、重要な情報の共有に時間がかかったりすることが課題でした。また、外出先から庁舎に電話で問い合わせをする際も、代表番号にかけて担当部署につないでもらう必要があり、非効率的でした。
しかし、クラウドPBXでは、以下の機能により業務効率を大幅に向上できます。
機能 | 効果 |
---|---|
内線 | 外出先でも内線番号で直接連絡が取れる |
プレゼンス機能 | 着信に対応可能な状態かをリアルタイムで確認でき、効率的な連絡が可能 |
全通話自動録音 | 重要な通話内容を後から確認でき、聞き漏らしや認識の相違を防止 |
Web電話帳 | 部署や職員の連絡先を一元管理し、スマートフォンやPCから簡単に検索・発信 |
例えば、全通話自動録音があれば、会議中で電話に出られなかった場合も、後から録音を確認することで、重要な連絡を見逃すことがありません。また、Web電話帳であれば、電話帳を探す時間を削減できるため、より多くの時間を本来の業務に充てられます。
クラウドPBXを導入した自治体の実例
クラウドPBXを導入した自治体では、業務の効率化や住民サービスの向上を実現しているところも多くあります。例えば、複数町村が合併した自治体では、各拠点の電話システム統一により導入コストを約4分の1に削減しました。
また、新型コロナウイルス感染症の問い合わせが急増した自治体では、IVR機能を活用した自動振り分けで、職員の負担を大幅に軽減するなどそれぞれの課題に応じた効果を上げています。
その中でも、大阪府公民戦略連携デスクでは、クラウドPBXの導入によって参加者が1,000人を超える大規模イベントでの効率的な電話対応を実現するといった成果を上げています。
大阪府公民戦略連携デスク
大阪府公民戦略連携デスクは、府内43市町村と企業の公民連携を推進する部署です。
「OSAKA子どもの夢応援事業」では、1,000人を超える参加者からの問い合わせに対応する必要がありました。
イベント開催にあたり、参加申込みから当日の運営まで、様々な段階で住民からの問い合わせが発生します。限られた職員数で、これらの問い合わせに迅速かつ的確な対応が求められていました。
そこで当社(株式会社プロディライト)の「INNOVERA」を活用し、限られた人員でも効率的に電話対応できる体制を構築しました。スマートフォンでも固定電話と同じように使える点が評価され、場所を問わず柔軟な対応が可能となっています。
イベント会場での受付業務においても、代表番号での発着信ができるため、参加者からの問い合わせにスムーズに対応できました。また、複数の職員が同時に電話対応できる体制を整えることで、問い合わせの集中時にも待ち時間を最小限に抑えられています。
特に全通話自動録音機能は、クレーム対応時の内容確認に役立ち、冷静かつ適切な対応につながっています。録音データは、対応品質の向上のための研修材料としても活用されています。
INNOVERAが自治体の電話DXをサポート
当社(株式会社プロディライト)が提供するクラウドPBX「INNOVERA」は、自治体の様々なニーズに応える機能を備えています。ここでは、INNOVERAが自治体の電話DXをどのようにサポートするのか、具体的な機能とメリットを紹介します。
メンテナンス不要で運用コストを圧縮
従来のPBXは、定期的なメンテナンスや故障時の修理対応が必要でした。これらの作業には専門業者への依頼が必要で、その都度コストが発生します。
年間保守契約を締結している場合でも、故障や機器の老朽化に伴う交換などで契約の範囲外の作業には追加費用が発生し、予期せぬ出費につながるケースもあります。
しかし、INNOVERAはクラウド上で動作するため、物理的な機器のメンテナンスは一切不要です。システムのアップデートも自動的に行われるため、常に最新の機能を利用できます。そのため、自治体側でセキュリティ対策を個別に実施する必要がなく、安心して利用できます。
また、複数拠点を一元管理できるため、各拠点に管理担当者を配置する必要もありません。人件費を含めた運用コストの大幅な削減が可能になります。
IVR機能で問合せ窓口を自動振り分け
INNOVERAのIVR機能は、音声ガイダンスによる自動振り分けを実現します。住民からの問い合わせを内容別に分類し、適切な担当部署へ自動的に転送します。
IVRのシナリオは、自治体の組織構成や業務内容に合わせて柔軟なカスタマイズが可能でWeb管理画面から簡単に設定変更することができます。
例えば、確定申告の時期には税務関連の問い合わせが増加するため、IVRメニューの最初に税務課への案内を配置するなど、時期に応じた最適化ができます。
営業時間外には「本日の受付は終了しました」といったアナウンスを流すことも可能で、24時間365日、適切な対応ができます。休日や夜間の緊急連絡先を案内することで、真に緊急な案件については適切な対応につながります。
また、混雑時には順番待ちのアナウンスを流すこともでき、住民に待ち時間の目安を伝えることで、サービス満足度の向上が実現できます。
全通話自動録音で住民対応品質を向上
INNOVERAは、標準機能としてすべての通話を自動的に録音し、6カ月間保存する全通話録音機能が搭載されています。
録音データは、トラブル発生時の事実確認や、職員の応対品質向上のための研修材料として活用できます。特に、不当要求やハラスメントへの対策としても有効です。
録音データの検索機能も充実しており、日時、電話番号、担当者などの条件で必要な通話をすぐに見つけられます。これにより、住民からの「言った、言わない」といったトラブルにも迅速な対応が可能です。
また、重要な通話内容を後から確認できるため、聞き漏らしによるミスを防ぎ、正確な業務遂行に貢献します。新人職員の教育にも活用でき、実際の対応事例を聞きながら、適切な応対方法を学ぶことができます。
さらに、将来的にはAI技術を活用した音声認識により、通話内容を自動的にテキスト化する機能も提供予定です。これにより、通話内容の検索や分析がより容易になり、住民サービスの更なる向上につながります。
API連携で既存システムとの統合が可能
自治体では、住民情報システムや各種業務システムなど、多様なシステムが稼働しています。INNOVERAは、これらの既存システムとAPI連携することで、より効率的な業務運営を実現します。
例えば、INNOVERAのAPI連携機能では、以下のような実用的な機能が利用可能です。
機能 | 効果 |
---|---|
着信ポップアップ | 電話の着信と同時に顧客情報や過去の対応履歴などを自動表示します。電話を取る前に情報が確認でき、余裕を持って対応できます |
受発信の一元化 | INNOVERAでの通話情報(いつ、誰と、何分話したか)と録音データが、既存の業務システム画面に自動で記録されます。電話対応後の手動入力作業が不要になり、業務効率化に役立ちます。 |
クリックトゥコール | CRMやSFAの顧客情報画面に表示されている電話番号をクリックするだけで発信できます。ダイヤル間違いを防ぎ、架電の効率が向上します。 |
通話内容の自動文字起こし | 音声を自動でテキスト化します。事前にキーワードを指定しておけば、そのキーワードが含まれる音声に自動的にアラートを出します。AI搭載のため、業界用語など使えば使うほどテキスト化の精度が向上します。 |
INNOVERAは、実際にSalesforce、kintone、SanSan、カイクラ、楽テルなどの主要なビジネスツールとの連携実績があり、多くの企業で活用されています。
また、将来的には、AIを活用した音声認識や自動要約機能との連携も予定されており、さらなる業務効率化が期待できます。
まとめ
クラウドPBXは、自治体が抱える様々な課題を解決し、DX推進の重要な一歩となるソリューションです。BCP対策の強化、テレワークの推進、窓口サービスの向上、コスト削減など、多岐にわたるメリットをもたらします。
実際に導入した自治体の事例からも、その効果は明らかです。災害に強い通信インフラの構築、住民サービスの質の向上、職員の働き方改革など、具体的な成果が報告されています。導入により削減されたコストは、他の住民サービスの充実に充てられ、結果として住民満足度の向上につながっているのです。
INNOVERAは、自治体の電話DXを強力にサポートする機能を備えたクラウドPBXです。メンテナンスフリーで運用コストを削減しながら、災害時でも継続可能な通信環境を提供します。さらに、IVR機能や全通話自動録音、既存システムとの連携など、自治体のニーズに応える豊富な機能を搭載しています。
これからの自治体運営において、クラウドPBXの導入は避けて通れない道となるでしょう。早期に導入することで、そのメリットを最大限に享受し、住民サービスの向上と業務効率化を実現できます。
自治体のDX推進や電話システムの課題解決をお考えの際は、ぜひ一度INNOVERAをご検討ください。