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IP電話にすると電話番号はどうなる?種類と特徴から考える選び方
IP電話にすると電話番号はどうなる?種類と特徴から考える選び方
2000年代から本格的な普及が始まったIP電話は、高速インターネットの普及と通信技術の進歩により、利便性と通話品質が大きく向上しています。
インターネットがビジネスにおいて欠かせないインフラとなり、従来の固定電話と比べてコストを抑えられることからも、多くの企業がIP電話の導入に積極的です。
しかし、IP電話は取得できる電話番号に複数の種類があり、それぞれに特徴や利用制限があります。新たに電話番号を取得する場合や、固定電話から移行をする際は、事前の確認が大切です。
IP電話を円滑に導入するためにも、取得できる電話番号の種類や特徴、そして導入の流れについて見ていきましょう。
IP電話で取得できる電話番号は3種類
IP電話はインターネット回線を利用した音声通話サービスです。
受話器から入った声をデジタル信号に変換し、インターネット回線を介して音声のやり取りを行います。IP電話を利用するには、光回線のIP電話オプションを申し込むか、専用アプリを使用するのが一般的です。
また、固定電話は主にアナログ回線を使用する音声電話サービスです。
音声を電気信号に変換し、専用の電話回線を介して通話を行います。固定電話を利用するには、NTTの加入電話など、アナログ回線を利用した音声通話サービスを提供している通信事業者との契約が必要です。
このように、IP電話と固定電話は同じ音声通話サービスでありながら、仕組みは根本的に異なります。そのため、固定電話の電話番号をIP電話で取得することや、その反対もできません。IP電話を利用するには、IP電話専用の電話番号を取得する必要があります。
IP電話で取得できる電話番号には以下の3種類があります。
- 050番号
- 0ABJ番号
- 着信課金番号(0120、0800番号)
それぞれ特徴が異なるので、確認しておきましょう。
050番号
050番号は、「050+通信事業者の識別番号+利用者番号」の11桁で構成された電話番号です。取得手数料や月額基本料金が手頃な価格に設定されており、導入・維持コストを大幅に抑えられるのが特徴です。
全国どこでも取得でき、利用料金も安いことから、多くのコンタクトセンターやカスタマーセンター、サービス業では予約受付専用の電話番号として活用されています。
一方で、050番号には地域情報が含まれていないため、電話番号からオフィスの所在地を特定できません。会社情報に東京の住所が記載されていたとしても、実際にその地域にオフィスが存在するか判断できないので、ビジネスの利用では信頼性が低くなる可能性があります。
また、050番号の通話品質は、総務省が定める基準において最も低いクラスC(IP電話並み)に分類されていることから、ビジネスでの利用に注意が必要です。
【総務省の通話品質基準】
- クラスA:固定電話並み
- クラスB:携帯電話並み
- クラスC:IP電話並み
クラスが下がるほど遅延が発生しやすいため、クラスCの050番号では通話中に音声の途切れや遅延が発生する可能性が高くなります。特に重要な商談や打ち合わせ、注文受付など、正確な聞き取りが求められる場面では支障をきたすリスクがあります。
さらに、050番号は他社への電話番号の引き継ぎができないため、通信事業者を変更する際には電話番号の変更が必要です。
関連記事:【2024年最新版】050番号の取得方法7選を徹底比較!
0ABJ番号
0ABJ番号は、「0+市外局番+市内局番+加入者番号」で構成される10桁の電話番号です。
東京23区なら03、大阪なら06から始まるような、従来の固定電話と同じ構成になっています。市外局番と市内局番はエリアごとに自動で割り当てられるため、電話番号から事業所の所在地が把握しやすく、企業の信頼性向上につながります。
また、0ABJ番号の通話品質は、最高レベルのクラスA(固定電話並み)に位置づけられており、050番号(クラスC)と比べて高品質な通話が可能です。遅延や音声の途切れが少なく、重要な商談や顧客対応でも安心して利用できます。
0ABJ番号の発行手数料は、050番号と比較すると高めに設定されています。しかし、安定した通話品質やビジネスにおける信頼性の高さを考慮すると、十分な価値があるといえるでしょう。
0ABJ番号は電話番号の引き継ぎができる
0ABJ番号は、通信事業者を変更する際に電話番号の引き継ぎが可能です。
そのため、新しいサービスや割安な料金プランがあれば、既存の番号を維持したまま乗り換えることができます。0ABJ番号の引き継ぎは、2025年1月以降に順次提供が予定されている「双方向番号ポータビリティ」によりさらに利便性が向上します。
双方向番号ポータビリティとは、取得した通信事業者に関係なく、異なる通信事業者や電話サービス間で固定電話番号を維持したまま自由に引き継ぎができる仕組みです。
従来は、NTT東日本・西日本の加入電話・ISDN電話で取得した電話番号のみが引き継ぎの対象となる「片方向番号ポータビリティ」が採用されていました。
しかし、双方向番号ポータビリティの開始により、その制限がなくなります。
なお、オフィスの移転で市外局番のエリアが変わる場合は、地域に紐づいた番号という特性上、既存の電話番号を継続して使用することはできません。
関連記事:【2025年1月】双方向番号ポータビリティで固定電話番号の扱いはどう変わる?
着信課金番号(0120、0800番号)
着信課金番号は、音声通話にかかる通話料を着信側が負担する電話番号です。
顧客や取引先は、通話料金を気にせず電話をかけられるため、問い合わせ件数の増加や顧客満足度の向上が期待できます。着信課金番号の代表的なサービスとして広く知られるのが、NTTの「フリーダイヤル」です。
着信課金番号は「0120+6桁」で構成されており、6桁の部分は他の利用者が使用していなければ任意の番号を取得できます。近年では0120番号の枯渇に伴い、0800から始まる着信課金番号も提供されています。
ただし、着信課金番号はIP電話でも利用できますが、単独での取得はできません。0ABJ番号または050番号に紐づけることで初めて取得が可能となります。
IP電話と固定電話の違い
IP電話と固定電話は、取得できる電話番号の種類だけでなく、通話品質や通話に利用する機器においても違いがあります。特に固定電話からIP電話への移行は、通話品質や利用機器の違いによって業務に支障が出る可能性があるため、事前の確認が重要です。
以下では、IP電話と固定電話の主な違いについて解説します。
通話品質は固定電話の方が高い
IP電話と固定電話では、通信方式の違いにより通話品質に差が生じます。
IP電話は、音声通話とデータ通信に同じインターネット回線を使用します。多くのインターネット回線は「ベストエフォート型」という通信方式を採用しており、通信速度が一定ではありません。そのため、同じ回線を使用している他のユーザーがオンラインミーティングを行ったり、大容量ファイルを送受信したりすると、ネットワークが混雑して音声の遅延や途切れる可能性があります。
0ABJ番号を利用する場合でも、通話品質は回線の混雑状況に左右されるため、安定しない可能性があります。
一方、固定電話は回線交換方式を採用しており、通話ごとに1本の専用回線を占有します。IP電話のように、他のデータ通信の影響を受けることがないため、安定した通話品質を維持できます。
このように、固定電話からIP電話に乗り換える際は、通話品質が変化する可能性があるため、事前に影響を検討しておくことが大切です。
関連記事:IP電話と固定電話の違いを徹底解説!仕組み、コスト、選び方のポイント
通話に利用できる機器が異なる
固定電話とIP電話では、通話に利用する機器に大きな違いがあります。
固定電話は、モジュラージャックと呼ばれる専用の端子に電話回線を接続する必要があるため、基本的には専用の電話機でしか利用できません。
コードレス子機があれば多少の移動は可能ですが、親機からの電波到達範囲が限られています。そのため、建物の中で利用するのが一般的です。
一方、インターネット回線を利用するIP電話は、LANケーブルによる有線接続だけでなく、Wi-Fiやモバイルデータ通信(無線接続)にも対応します。
そのため、PCやSIP電話機、スマートフォン、タブレットなど、さまざまな端末で利用できます。例えば、オフィスでは固定電話機としてIP電話専用のSIP電話機を使用し、外出時はスマートフォンにIP電話アプリをインストールして利用することが可能です。
このような機器の選択肢の広さは、IP電話の大きなメリットとなります。
ビジネス用途でIP電話を導入する際の流れ
電話環境は、社内外との連絡や情報のやり取りを支える重要な基盤です。導入時にトラブルが発生すると、会社全体に深刻な影響を与えるリスクがあるため、慎重に進めることが大切です。
以下はIP電話を導入する際の流れです。
- 利用状況の把握
- 業務に合った番号とサービスを選ぶ
- 運用体制とルールの整備
- 見積り・導入プランの検討
- IP電話の契約
- 導入
各工程について解説します。
利用状況の把握
IP電話の導入では、まず現状の利用状況を正確に把握します。
すでに複数の電話回線を契約している場合は、IP電話を導入する前に、現在使用している通話回線の本数と、それぞれの回線がどの程度の頻度で使用されているかを確認しましょう。
特に1日の中で最も通話が集中する時間帯における同時通話数を把握することで、必要な回線数を適切に見積もれます。同時に、社内の内線通話や、取引先・顧客など社外との通話がどの程度の割合で発生しているのかを整理できれば、最適なプランを選択できます。
また、既存の電話番号を継続して使用する場合は、番号ポータビリティ(電話番号の引き継ぎ)が可能かどうかの確認も必要です。
業務に合った番号とサービスを選ぶ
IP電話のサービスを選ぶ際は、業務内容に合わせて適切な電話番号の種別を選定します。
地域性や信頼性を重視する場合は0ABJ番号、コスト効率を重視する場合は050番号が適しています。
着信転送や通話録音といった付加機能についても、必要な機能を漏れなく洗い出しておきましょう。現在の業務で必要な機能だけでなく、今後活用が見込まれる機能についてもリストアップしておくと安心です。
さらに、将来的な事業拡大や組織変更にも対応できるよう、拡張性についても考慮が必要です。新規拠点の追加や従業員数の増加、新しいサービスの導入など、将来的な変化にも柔軟に対応できるIP電話を選択することで、長期的な運用が可能となります。
運用体制とルールの整備
IP電話を円滑に運用するためには、適切な体制とルールの整備が欠かせません。
最初に決めておきたいのが、システム全体の管理責任者と日常的な運用担当者です。担当者が決まっていることで、トラブル発生時やシステム変更が必要な際に、迅速な対応が可能になります。
次に、システムトラブルや通信障害などの緊急事態に備えた対応フローを作成します。誰がどのような状況で、どのように対応するのか、具体的な手順を決めておくことで、問題が起きても混乱なく対処が可能です。
また、電話システムを適切に使用するための社内ルールも必要です。例えば、業務時間外の電話対応方法、通話録音の利用基準、個人情報の取り扱いなどについて、明確な指針を定めます。運用ルールを決めておくことで、全社で統一された適切な運用が可能になります。
見積り・導入プランの検討
IP電話導入における見積りと導入プランの検討では、複数の事業者から見積りを取得し、サービス内容や料金体系を詳細に比較しましょう。
見積りを比較する際は、初期費用だけでなく長期的な運用コストまで考慮することが大切です。
IP電話にかかる代表的なコストは以下のとおりです。
- 電話機などの機器購入費用
- 設置工事費用
- 毎月の回線使用料
- 保守・メンテナンス料金
総費用を計算することで、長期的な視点で最適な選択ができます。
また、導入スケジュールの計画も重要な要素です。特に以下の段階については、十分な期間を設ける必要があります。
- 機器の設置作業
- 試験運用期間
- 本格稼働
既存の顧客管理システムやグループウェアなどを連携している場合は、IP電話への移行に伴い利用できない期間が発生することがあります。従業員への事前周知を徹底し、業務への影響を最小限に抑えられるように余裕を持ったスケジュールを立てることが重要です。
IP電話の契約
IP電話を契約する際は、最低利用期間や解約時の条件、機器の保守メンテナンス内容など、契約に関わる重要事項を漏れなくチェックします。
また、契約時には、会社の登記簿謄本や印鑑証明書などが必要になる場合があります。必要書類を事前に確認し、漏れなく提出できるよう準備を整えましょう。
導入
IP電話の導入に必要な電話機やルーター、各種通信機器の設置、そして必要なソフトウェアのインストールなどは基本的にベンダーが行います。
設定後は、実際の通話環境での接続テストを実施します。社内の各拠点間での通話テストはもちろん、外部との通話品質や各種機能が正常に動作するかを確認しましょう。問題が発見された場合は、本番稼働前に必ず改善策を講じることが重要です。
すべての準備が整ったら、本番稼働へと移行します。移行当初は想定外の問題が発生する可能性もあるため、サポート体制を万全に整えた上で運用を開始します。
また、運用開始後も定期的に利用状況を確認し、必要に応じて設定の調整や追加の研修を実施しましょう。
クラウドPBXとの組み合わせでIP電話はさらに便利に
クラウドPBXは、PBX(構内交換機)の機能をインターネット上で提供するサービスです。従来のPBXはオフィス内に機器を設置する必要があり、システムの構築に高額な費用がかかっていました。
一方、クラウドPBXはベンダーが提供するシステムを利用するため、機器の購入や設置は不要です。メンテナンスもベンダーが行うため、初期費用やランニングコストが抑えられます。
また、IP電話で使用する主な電話番号(050番号、0ABJ番号、着信課金番号)に対応しているため、業務内容に合わせた柔軟なシステム構築ができます。通話録音や着信転送など、ビジネスに役立つ機能が豊富に搭載されているため、電話業務の効率化が可能です。
電話番号を複数の端末で共有できる
通常のIP電話では、一つの電話番号を複数の端末で共有することはできますが、同時通話はできません。
しかし、クラウドPBXを導入すると、同じ電話番号でも複数の通話が同時に可能になります。例えば、一つで電話番号で、オフィスの固定電話で顧客対応をしながら、外出中の営業担当がスマートフォンで商談を行い、在宅勤務者がPCで問い合わせ対応をするといった使い方ができます。
また、会社の代表番号に着信があった場合、設定している全ての端末で受けられるので、仮にオフィスに誰もいない状況でも、外回り中の営業担当者が応対することが可能です。
関連記事:スマホで固定電話番号が使えるサービスとは?特徴と機能を解説!
端末同士で内線ができる
クラウドPBXでは、導入した端末間で内線が可能です。
従来のように物理的な配線工事をすることなく、インターネット環境さえあれば、オフィス内はもちろん、リモートワークや外出先の社員とも内線通話ができます。
また、外線の取り次ぎもできるため、折り返しの手間がかかりません。例えば、取引先からオフィスに営業担当者あての電話がかかってきた際、従来なら「申し訳ありません。担当の田中から折り返しさせていただきます」と一度電話を切る必要がありました。
しかし、クラウドPBXでは、その場で内線を使って営業担当者のスマートフォンに転送できるため、取引先の電話を切ることなく取り次ぐことができます。このように取り次ぎがスムーズになるだけでなく、通話料も抑えられます。
豊富な拡張機能で業務の効率化につながる
クラウドPBXには、業務効率を向上させる様々な拡張機能が用意されています。
通話録音や通話履歴の管理、通話時間の分析といった基本的な機能を備えています。さらに、顧客管理システムとの連携による着信時の顧客情報表示や、AIを活用した音声認識による通話内容の文字起こしなど、高度な機能も利用可能です。
拡張機能により、取引先や顧客の要望や問い合わせ内容を正確に記録・分析でき、より質の高い顧客対応を実現できます
INNOVERAで実現するスマートなオフィス環境
当社(株式会社プロディライト)が提供するクラウドPBX「INNOVERA」は、050番号、0ABJ番号、着信課金番号に対応しています。
通話録音、内線通話、着信転送などのクラウドPBXの基本機能を備え、外部システムのAPI連携ができるので、業務内容に合わせた電話システムを柔軟に構築できます。
PCやSIP電話機はもちろん、専用アプリ「INNOVERA Call」を使用することでスマートフォンやタブレットでも簡単に導入が可能です。
そのため、オフィスの内外を問わず、多様な端末から固定電話番号での通話ができます。
わかりやすい管理画面で操作に迷わない
INNOVERAの特徴の一つが直感的に操作できる管理画面です。
電話番号の追加や変更、内線番号の設定、着信ルールの編集など、よく使う機能がまとめられており、通話履歴や録音データの確認も簡単に検索できます。現場目線で「わかりやすさ」を追求しているため、マニュアルを読まなくても誰でも設定が可能です。
また、導入後も専門知識を持ったスタッフが電話やメールで丁寧にバックアップし、システムの活用をサポートします。
初期設定のサポートはもちろん、電話機の追加設定や、顧客管理システムとの連携方法まで、運用に合わせた具体的なアドバイスを提供します。
ユーザーからの「着信転送の設定をもっと簡単にしてほしい」「通話履歴の検索機能を強化してほしい」といった機能改善要望にも積極的に対応し、より使いやすいシステムへと継続的に進化を続けています。
IP-Lineとの組み合わせで通話料を最大42.5%削減
当社が提供するIP電話「IP-Line」は、90秒課金という独自の課金システムを採用しています。
一般的なIP電話は180秒ごとの課金となっており、接続時点で180秒分の通話料が発生します。実は、日本の通話の74%は90秒以内で終了しているため、多くの通話で無駄な費用が発生している可能性が高いのです。
しかし、IP-Lineでは、90秒ごとに課金されるため、通話料を最大42.5%削減することが可能となっています。
また、IP-Lineは東京03や大阪06をはじめ、全国34局の市外局番に対応しており、既存の電話番号をそのまま移行することも可能です。
Free-ProLineを利用すれば、0120/0800番号の利用と番号ポータビリティにも対応しているため、現在使用中の着信課金番号もそのまま継続して使用できます。
まとめ
IP電話を導入する際は、取得できる電話番号の種類(0ABJ番号、050番号、着信課金番号)とそれぞれの特徴を理解して、適切な番号を選択しましょう。
固定電話からIP電話への移行では、トラブルが起きるケースも少なくありません。そのため、正しい手順で段階的に進めることが大切です。
また、IP電話は、クラウドPBXと組み合わせることで、より柔軟で効率的な電話システムを構築することが可能です。
クラウドPBX「INNOVERA」は、リモートワーク環境下での固定電話対応や、全通話自動録音、わかりやすい管理画面、コスト削減など、現代の働き方に適した機能を提供します。
場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を実現するためにも、ぜひINNOVERAをご検討ください。