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固定電話は廃止されない!2024年IP網移行の影響と対応策
固定電話は廃止されない!2024年IP網移行の影響と対応策
NTTは、固定電話(加入電話・INSネット)のIP網移行を2024年1月から順次開始し、2024年11月までに、すべての移行が完了しています。
「固定電話が廃止されるのでは?」と不安に思われた人もいるかもしれませんが、実際は廃止されることはなく、IP網への移行後も従来通り利用できます。
ただし、この移行に伴い、通話料の変更や一部サービスの提供終了など、いくつかの変更点があります。特に終了が予定されているサービスを利用中の企業は、対応を放置すると業務に支障をきたす可能性があるため、早い段階で対策を検討する必要があります。
本記事では、IP網への移行で何が変わり、どのような可能性が広がったのか、また今後の通信環境の改善に向けてどのような選択肢があるのかを解説します。
固定電話は廃止されずに今後も提供される
NTTが固定電話の公衆交換電話網(PSTN)をIP(Internet Protocol)網に移行したのは、サービスを継続的に提供するためです。
従来の公衆電話網では、音声通話を実現するために中継交換機や信号交換機などの特殊な設備が使用されていました。しかし、これらの設備は長年の使用で老朽化が進み、維持・保守には多くのコストと労力が必要となっています。
また、固定電話の需要自体も大きく変化しています。携帯電話の普及や高度なインターネット通信技術の発展により、多くの人が固定電話よりもスマートフォンやインターネットを主要な通信手段として選択するようになりました。
企業においても同様に、音声通話にはインターネット回線を使ったIP電話、ビデオ会議、オンラインツールの利用が増えています。
設備の老朽化と需要の変化により、特に2025年頃には従来の通信設備の維持が困難になると予想されることから、NTTはサービスの廃止ではなく、固定電話サービスの基盤となる通信網をIP網に移行する方針を2010年に公表しました。
手続きをしなくても従来通り使える
NTTは、公衆交換電話網からIP網へ移行する際、「メタルIP電話」という方式を採用しました。メタルIP電話は、電話機からNTT局までは従来の電話回線(メタル回線)をそのまま活用し、中継部分のみをIP化する仕組みです。
IP網への移行はNTT側の通信設備の切り替えだけで完了するため、利用者側での手続きや工事は必要ありません。電話機もそのまま継続して利用できます。
IP網への移行にあたり、利用者側にすることは何もなかったのですが、移行の仕組みが一般にはわかりにくいことから、移行前に「固定電話が廃止されるので使えなくなる」「今なら工事料無料」といった不安をあおる営業電話や勧誘が報告されていました。
通話料が全国一律になった
IP網への移行に伴い、大きく変わったのが通話料です。公衆交換電話網では、固定電話あての通話料が通話先との距離によって変動していました。
そのため、通話相手との距離が遠くなるほど経由する交換局が増えるため通話料が高くなります。しかし、IP網ではインターネット回線を利用した通話となり、距離による料金の差がなくなったことで、2024年1月1日以降は、全国どこへかけても9.35円/3分(税込み)となっています。
なお、IP網への移行後も基本料金は変更されません。また、携帯電話あての通話料も、従来通りの料金体系が継続されます。
公衆交換電話網の廃止で影響を受けるシステム
IP網への移行に伴い、「INSネット ディジタル通信モード」がサービスを終了します。
サービス終了の影響を受けるのが、EDIを利用している企業です。固定電話網の廃止に伴い、従来のEDIが使用できなくなることから、この問題は「EDI2024年問題」と呼ばれています。
NTTは補完策として「切替後のINSネット上のデータ通信」を2028年まで提供しますが、通信の遅延や処理時間の増大など、従来通りの運用が難しくなる可能性があります。そのため、インターネットEDIなど新しい通信方式への早急な移行が求められています。
INSネットのサービス提供は2028年まで
INSネットは、NTT東日本・西日本が提供してきたISDN回線サービスです。音声通話とデータ通信を1つの回線で同時に利用できる高品質なデジタル通信サービスとして、1988年のサービス開始以来、多くの企業や医療機関などで活用されてきました。
しかし、IP網への移行に伴い通信設備の維持が難しくなってきたため、データ通信用の「ディジタル通信モード」は2024年1月から地域ごとに段階的にサービスを終了しています。新規の申し込みは2024年8月31日以降受け付けていません。
サービスが終了するのはデータ通信のみで、音声通話は引き続き利用可能です。
ディジタル通信モード終了後の対応として、「切替後のINSネット上のデータ通信」という補完策が用意されています。これは移行が間に合わないユーザーのための一時的な対応策ですが、2028年12月31日までに完全に終了する予定となっています。
なお、補完策では、従来のディジタル通信モードと比べて伝送遅延が発生し、処理時間が増大するなど、使用する機器によっては通信に影響が出る場合があるため注意が必要です。
EDIシステムは移行対応が必要
EDI(Electronic Data Interchange:電子データ交換)は、企業や行政機関が伝票や文書データを自動的にやり取りするシステムです。これまで多くの企業が、INSネットのディジタル通信モードを利用してEDIを運用してきました。
しかし、IP網への移行に伴いディジタル通信モードが終了するため、EDIシステムは新たな通信方式への移行が必要です。INSネットに関しては、補完策が2028年まで提供される予定ですが、従来よりも通信が不安定になる可能性があります。
EDIシステムの安定運用に支障をきたすおそれがあるため、より安定した新しい通信方式への移行を検討する必要があります。
固定電話の確認を機にIP電話への移行も検討を
固定電話は廃止されずに今後もサービスが継続されます。基本料金も変更ありません。さらに、IP網への移行により、通話料が全国一律となり、従来よりもコストが抑えられるようになりました。
普段は見直す機会の少ない固定電話ですが、この機会に通信コストの見直しも考えてみましょう。選択肢の一つとして検討したいのが、IP電話への切り替えです。
以前のIP電話は通話品質に不安があるとされていましたが、通信技術の進歩により、現在では固定電話と変わらない高品質な通話が可能になっています。
さらに、基本料金・通話料ともに固定電話より割安で、すでにインターネット回線をお使いの場合は工事不要で導入できます。固定電話の番号もそのまま引き継ぐことも可能です。
月額基本料金・通話料金の削減につながる
IP電話は固定電話と比べて、基本料金と通話料の両面でコスト削減が期待できます。
NTTの固定電話(加入電話)とIP電話の月額基本料金と通話料は以下のとおりです。
IP電話サービス | 月額基本使用料(円) | 固定電話への通話料(円) | 携帯電話への通話 |
---|---|---|---|
固定電話(加入電話) | 1,595~3,025 | 9.35/3分 | 17.6/1分 |
NTTひかり電話 | 550 | 8.8/3分 | 17.6/1分 |
auひかり電話 | 550 | 8.8/3分 | 17.5~17.6/1分 |
IP-Line | 1,100 | 5.06/90秒 8.69//3分 | 8.8/30秒 16.5/1分 |
※税込み
NTTの固定電話(加入電話)は音声通話専用のサービスですが、IP電話はインターネット接続サービスの付帯サービスとして提供されています。そのため、月額基本料金が大幅に安くなっています。
通話料についても、固定電話の場合は、固定電話への通話が3分9.35円ですが、IP電話ではさらに抑えられます。
また、固定電話は1回線1チャネルのため、同時通話には複数回線の契約が必要です。しかし、IP電話では1回線で複数チャネルが利用できるので、契約回線数を削減でき、コストを抑えられます。
LNPを利用すれば電話番号を変えずに移行できる
固定電話からIP電話に切り替える際、LNP(Local Number Portability:番号ポータビリティ)を利用すれば、使い慣れた電話番号をそのまま継続して使用できます。
LNPとは、固定電話番号をそのまま別の電話会社に移行できる制度です。現在は、NTTの加入電話で取得した固定電話番号からの移行のみ可能となっています。
従来のIP電話サービスでは050から始まる電話番号が一般的でしたが、通信技術の進歩により、市外局番から始まる0ABJ番号を取得できるサービスが増えています。
さらに2025年1月からは「双方向番号ポータビリティ」の受付が開始されます。双方方向番号ポータビリティとは、固定電話とIP電話の間で電話番号を相互に移行できる制度です。公衆交換電話網では、一方向のみの番号ポータビリティだったため、NTTの加入電話で取得した電話番号でしかLNPができない状態でした。
しかし、双方向番号ポータビリティでは、NTT以外の電話会社で取得した電話番号もIP電話への移行が可能となり、サービスの選択肢が広がります。
関連記事:【2025年1月】双方向番号ポータビリティで固定電話番号の扱いはどう変わる?
IP電話の利便性を高めるクラウドPBX
IP電話への移行を検討する際、併せて導入を考えたいのがクラウドPBXです。
クラウドPBXとは、IP電話による通話を制御・管理する機能をクラウド上で提供するサービスです。従来のビジネスフォンでは、PBX(構内交換機)を設置して内線管理や通話制御を行っていましたが、クラウドPBXではこれらの機能をクラウド上で提供します。
機器のメンテナンスやアップデート、システムのセキュリティ対策などはベンダーが行うため、保守管理の手間もかかりません。
また、IP電話とクラウドPBXを組み合わせることで、初期費用を抑えながら、利便性の高い電話システムを構築できます。
クラウドPBXには他にも以下の特徴があります。
- スマートフォンやPCで固定電話番号が利用できる
- 非常時でも通話手段を確保できる
- 離れた場所でも端末同士の内線通話が可能
- 業務内容に応じて機能を柔軟に拡張できる
それぞれの特徴について詳しく解説します。
スマートフォンやPCで固定電話番号が利用できる
クラウドPBXは、スマートフォンやタブレット、PCを電話機として設定できます。設定した端末からインターネットを介してクラウドPBXにアクセスできれば、会社の代表番号をどこからでも使用できます。
例えば、リモートワーク中の従業員が自宅から代表番号で取引先に電話をかけることや、顧客からの着信に直接対応することも可能です。
また、外出先でもスマートフォンで会社の代表番号を使った通話ができるため、オフィスに従業員がいなくても電話応対ができます。
働き方の多様化が進んでいる昨今、特定の従業員に電話対応が集中し負担になっていることが課題となっていました。しかし、クラウドPBXを導入すれば、設定された端末を持つ従業員全員が対応できるため、電話業務の負担を分散できます。
関連記事:クラウドPBXに最適な電話機はどれ?4つの選択肢を紹介!
離れた場所でも端末同士の内線通話が可能
クラウドPBXは、従来のPBXと同様に内線機能を持っています。
従来のビジネスフォンでは、PBXに物理的な電話回線でつながった電話機でしか内線ができませんでした。そのため、建物の外や拠点間での通話には外線を使う必要があり、通話料が発生していました。
しかし、クラウドPBXの内線は、インターネット経由で行われるため、設定した端末同士であれば場所を問わず通話が可能です。従来のビジネスフォンと同様に、すべての内線通話が電話システム内で完結するため、通話料金は一切かかりません。
また、クラウドPBXで内線が利用できると、外線の取り次ぎもスムーズになります。例えば、外出先の営業担当者が受けた電話を、在宅勤務中の担当者に直接取り次げます。
「担当者から折り返します」という対応が減るため、取引先や顧客を待たせることがありません。折り返しの通話料も発生しないため、顧客満足度の向上と通話料の削減を同時に実現できます。
関連記事:クラウドPBXの内線は何ができる?業務効率を上げる使い方を紹介
非常時でも通話手段を確保できる
従来のビジネスフォンの大きな課題は、停電時に電話業務が止まってしまうことです。
停電になるとPBXに給電されないため、音声通話ができません。取引先やお客様と連絡ができなくなると、機会損失につながるおそれがあります。
対策として、UPS(無停電電源装置)の設置、PBXへの内蔵・外部バッテリの追加などがありますが、いずれも追加コストが発生します。
また、停電時間が長引くと対応できない場合もあります。
一方、クラウドPBXでは、スマートフォンやノートPCなどのバッテリー搭載端末があれば、停電時でも通話が可能です。
さらに、社内のインターネット回線が使えない場合でも、モバイル回線を利用することで、固定電話番号での通話を継続できます。このように、クラウドPBXは追加コストをかけることなく、災害時のバックアップ通信手段として機能します。
業務内容に応じて機能を柔軟に拡張できる
クラウドPBXには、通話録音やWeb電話帳といったビジネスに必要な基本機能が標準で搭載されています。そのため、通常の電話業務であれば導入直後から対応できます。
さらに、業務効率を高めるための様々な機能をオプションとして追加できます。
例えば、通話内容の分析やテキスト化、自動発信機能、CRMなどの外部システムとの連携など、業務内容に応じて必要な機能を選択できます。オプションの追加や解除は都度できるため、業務の変化に合わせて柔軟にカスタマイズできます。
また、アカウント数の増減にも簡単に対応できるので、事業規模の変化に応じて段階的にシステムを拡張できます。
関連記事:クラウドPBXとは?仕組みからメリット・デメリットまで徹底解説
INNOVERAなら固定電話からの乗り換えも簡単
クラウドPBXの導入を検討する際、多くの企業が「操作が難しいのでは」「システム移行が大変そう」「運用ができるか心配」という不安を抱えています。
そこでおすすめしたいのがクラウドPBX「INNOVERA」です。
INNOVERAは、現場で実際に使用する人の目線に立って開発されたクラウドPBXです。マニュアルがなくても設定ができるように設計されているため、ITに不慣れな方でも迷わず利用できます。
また、管理画面もシンプルで分かりやすくデザインされているため、特定の担当者だけが操作できる状況を防げます。
サポート体制も充実しており、専門知識を持つスタッフが導入後も継続的にサポートするため、長期的な運用も安心です。
直感的な操作で誰でも使いこなせる
INNOVERAの管理画面は、直感的な操作ができるよう設計されています。
そのため、パソコン操作が苦手な人でも、端末の設定・解除、通話履歴の確認、電話帳の編集など、日常的な操作がすぐに行えます。
スマートフォンやタブレットへの導入も、専用アプリ「INNOVERA Call」をインストールし、アカウント情報を入力するだけなので簡単です。端末の追加や削除も手軽にできるため、利用者の増減にも柔軟に対応できます。
「INNOVERA Call」では、全通話自動録音やWeb電話帳など、よく使う機能を標準搭載しています。Web電話帳では内線番号と外線番号を一元管理できるため、外出先やテレワーク中でもスムーズな通話が可能です。
導入から運用までワンストップでサポート
当社(株式会社プロディライト)では、クラウドPBXの利用に必要となる、IP電話「IP-Line」、インターネット回線「INNOVERA 光」、IP電話専用機「Yealink」を提供しています。必要な機器やサービスをワンストップで導入できるため、複数のベンダーと調整する手間がかかりません。
システムの導入から運用だけでなく、IP電話の開通手続きや電話番号の引き継ぎ(LNP)といったクラウドPBXを導入する前段階から専任スタッフが全面的にサポートするため安心して導入できます。
また、トラブルが発生した際も窓口一つで解決するため、迅速な復旧が可能です。
IP-Lineなら通話料を最大42.5%削減
当社が提供するIP電話サービス「IP-Line」は、90秒単位の課金方式を採用しています。
従来の固定電話や多くのIP電話サービスは3分(180秒)単位での課金が一般的です。そのため、1分で終わる短い通話でも3分間分の通話料が発生し、3分1秒の通話では6分間分の料金がかかってしまいます。
日本の通話の74%は90秒以内に終了しているため、通話時間以上の料金が発生している可能性がかなり高いことが想定されます。
1回の通話料の差は小さく見えるかもしれませんが、通話件数が増えれば大きな差となります。IP-Lineであれば無駄な通話料の発生を抑えられるため、通話料を最大42.5%削減することが可能です。
また、IP-Lineは全国34都市の市外局番に対応しています。IP電話サービスによっては対応する市外局番が限られており、電話番号を引き継げないケースも少なくありません。しかし、IP-Lineであれば、ほとんどの固定電話番号をそのまま継続して使用できます。
IP – Lineは固定電話回線からIP電話回線へ移行することができます
まとめ
固定電話が公衆交換電話網(PSTN)からIP(Internet Protocol)網に移行したことで、今後も継続してサービスが提供されることになります。移行に伴う手続きもありません。
また、移行に伴い通話料が全国一律となったため、県外への通話が多い企業では、コスト削減が期待できます。
さらに大きなコスト削減と業務効率化を目指すなら、IP電話への切り替えとクラウドPBXの導入をご検討ください。
当社(株式会社プロディライト)が提供するIP電話「IP-Line」では、90秒課金で通話料を最大42.5%削減できます。クラウドPBX「INNOVERA」なら場所を問わない柔軟な電話業務が可能です。
その他、電話システムの構築に必要なサービスをすべて提供しています。専任スタッフによる手厚いサポート体制も整えていますので、業務に支障を来すことなく、円滑に電話システムを入れ替えられます。
固定電話について関心を持ったこの機会に、ぜひ一度ご相談ください。